官能小説感想文 菊池祈里｜菊池祈里(きくちいのり)／鶯谷ナンバーワン

官能小説感想文 菊池祈里

2025/06/19 (木) 21:20:30

知らない女が僕の部屋で死んでいた
草凪優

初めて官能小説を読むに当たって、
ストーリー性があるものを
チョイスしました。

こちらは恋愛×官能×ミステリー小説
とのことで、ストーリー性に期待。


タイトルにある通り、仕事も無くなり
自暴自棄になりやけ酒してしまう男性。
目が覚めると、知らない女性が
全裸で目を開いたまましんでいた。
よく見るとその女性は、
自分には手が届かない高嶺の花だった
中学の同級生。
記憶が無い中、自分がしたと思いたくない
男性はその女性の情報を探っていく。
というストーリー。

サッと紹介した通りミステリー要素が
強く、最初は官能小説？となるが
最後の方にはしっかりと、
想像を超える形で男女が交合る様が
描かれていました。

正直エッチな気持ちになりたいなー！！
って読む読み物ではない感じが…。
直接的な性描写は2回ほどありますが、
その前後に乗っかってくるストーリーや
気持ちの面が重く、なかなか感情移入
してはいけないと思い込んでしまいました。
頭を空っぽにして、そこの場面だけ読んだら
とってもエロティック。
特に 傷 を舐め、塗り替えるシーンは
言葉選びがとても繊細で盛り上がりと
美しい愛情が感じられました。

エッチな気持ちになる読み物では
ないと書きましたが、
読み物を読むぞ！と言う意気込みで読めば
素晴らしい小説でした。
人間の汚さ、誰にでもあるプライド、
それをこなごなにされた人間だけが
わかる孤独。
それを、分かり合うもの同士の
短い時間の愛の物語。
読み終わった時には情緒がわけわからない
ことになったけど、
サクサクと読める読みやすさがある割には
サラッと終わらずに、心に残るものが
ありました。

軽い⚠️ネタバレ⚠️にはなりますが、
最後には少しグロテスクなシーンも
あるので、若干注意。
私はそこで、完全に情緒が
訳分からなくなりました笑

初めて読んだら官能小説としては
素晴らしく、いい意味で他の作品も
読んでみたい！と思わせてくれる
作品でした。


死があるから生が輝くように、
いつか終わりになるからこそ、
こんなにも夢中になっている、
命を燃やして、愛し合っている。