１−２｜藤沢／グッドワイフ

初めてじゃない。
でも、慣れたとも言えない。

あの土管から、
ストンと落ちてくる感じ。





わかっているはずなのに、
毎回、少しだけ肩に力が入る。

ガチガチではないけれど、
慎重になる。
一歩目を、ちゃんと確かめる。

1-2は、
そういう始まり方をする。

子どもの頃は、
先が見えないだけでドキドキして、
それがそのまま
大冒険だった。

大人になっても、
あの頃と同じ気持ちでドキドキしている。

ノコノコも、クリボーも、
のんびりした顔で、
ちゃんとこちらに向かってくる。

だから、
立ち止まらず、
急がず、
慎重に進む。

ひとつ越えて、
もうひとつ越えて、
少しずつ、
呼吸が合ってくる。

表情が、
ほんの少し緩む。

何度も通ってきたはずの場所で、
ふと、足が止まる。

あれ？
こんなところに、？ブロックあったっけ。

見つけた瞬間、
体の奥が、ふっと熱くなる。

攻略じゃなく、
発見。

知っているステージなのに、
まだ楽しいことが残っている。

余裕が出たころに、
ちゃんと現れる。
ワープの土管。

入った瞬間、
空気が変わって、
明るくなって、
「あ、大丈夫だ」っていう顔になる。

ドキドキは消えないけど、
質が変わる。
緊張から、
楽しい、に変わる。

短いけれど、
ちゃんと嬉しい時間。

うまくいった、
というより、
ちゃんと進めた、という感じ。

地下を抜けて、
地上へ。

今日は、
1-2をクリアした日。

また次のステージで。



藤沢🍄